こんにちは、登山歴3年のカエルハイカーです。夫婦で登山やキャンプを楽しんでいます。
2022年11月上旬、滋賀県東近江市にあるイブネ・クラシへ登りました。標高1,100mほどの低山ですが、アプローチの遠さから「鈴鹿の奥座敷」と呼ばれています。往復約17kmのロングコースになるので難易度は中級者向けとなります。
見どころは、山頂付近に広がる幻想的な苔の大地!まるで別世界に迷い込んだようで、その美しさは日本最後の秘境と言われる「雲ノ平」に例えられるほどです。
雲ノ平は北アルプスの奥地にあり、長い距離を歩かないと辿り着けない点もイブネと似ています。簡単に行けない場所だからこそ、惹かれるところがありますね。
今回は比較的緩やかに登っていく、人気の甲津畑(こうづはた)ルートをチョイス。あの織田信長も通った歴史ある道で、道中に残る史跡も楽しめるコースです。
イブネでテント泊、今年こそ実現したい!
※ここに記載の内容は2023年2月現在の情報です。
[イブネ・クラシ] 5つのおすすめポイント
- 山頂を埋め尽くす苔の大地が圧巻
- 山頂は開けていて景色がいい
- 織田信長も通った千種街道に史跡が点在
- 多彩でなルートで何度も楽しめる
- テント泊も人気 (※水場、トイレなし)
[イブネ・クラシ] アクセス・駐車場・トイレ
アクセス・駐車場
今回は滋賀県側の甲津畑ルートから登るので、甲津畑登山口までのアクセスです。山奥で何もない場所なので、ナビはひとまず「岩魚の里 永源寺グリーンランド」にセット。
グリーンランドの分岐を入らず、そのまままっすぐ1kmほど進むと、突き当たりに駐車場というか路駐スペースがあります。
朝7時に到着すると、すでにたくさんの車が路駐していました。空いていないので奥まで進むと、、、
橋の上に空きスペースがあったのでこちらに駐車。 橋より先は突き当たりになっていて車は入れません。
ここまで入ってきて満車だった場合、Uターンする場所がないのでバックで戻るしかありません。道幅が狭く慣れていないと大変だと思います。軽なら突き当たりの小スペースでUターンできるかもですが…。
トイレ
登山道の途中に仮設トイレが1か所あるにはありますが、ご覧の通り。 なかなか勇気がいります笑
トイレットペーパーは設置されていません。登山開始から1時間ぐらい歩いた場所、下記マップの「WC」のあたりです。
扉が勝手に開くので、外側から旦那さんに抑えててもらいました笑
※登山口や山頂にトイレはありません。
[イブネ・クラシ] 登山ルート・所要時間
《今回のルート》甲津畑ルート
イブネ・クラシは4つほど登山ルートがあります。今回は滋賀県側から登る「甲津畑(こうづはた)ルート」を選択。
どこから登ってもロングコースですが、甲津畑ルートは比較的傾斜が緩やかで楽に登っていけるとの噂だったので…。
とはいえ総歩行距離は約17km、それなりの体力を必要とする中級者コースになります。
甲津畑登山口▶︎杉峠▶︎イブネ▶︎クラシ▶︎イブネ▶︎杉峠▶︎甲津畑登山口
登山口から杉峠まで約3時間の樹林帯歩きになります。途中、ロープで岩場を降りて渡渉するポイントがあります。杉峠からイブネまでは約1時間ほどで到着できますよ。
所要時間
■合計所要時間:約8時間
歩行時間:約6時間45分
休憩時間:約1時間15分
[イブネ・クラシ] 登山
駐車場(路駐スペース)から少し戻った場所に登山口があります。「クマ出没注意!」怖いですね、念のため熊鈴つけて歩きます。
チェックポイントの杉峠まで約3時間、それではスタート!
千種街道は江戸時代まで伊勢と近江を結ぶ需要な街道として利用されていました。織田信長や多くの商人たちが通った歴史ある道で、道中に史跡が多く残っています。
杉谷善住坊が織田信長を火縄銃で狙撃するために隠れた岩があります。
はて、肝心の岩はどこ?見渡してもないのでスルーしましたが、2〜3分下ったあたりにあるそうです。
いくつも橋を渡りますが、こんな立派な橋もあれば、
こんな古めかしい橋も。
紅葉シーズンならではの景色。
スタートから1時間ほど歩いた場所に避難小屋と仮設トイレがあります。右端にあるのがトイレですが、すでに扉が全開(笑)
中を覗くと一瞬怯みますが、泣いても笑っても最後のトイレ、ありがたく使わせていただきました。
扉が勝手に開くので、外から誰かに押さえてもらう必要があります。トイレットペーパーはないのでご注意を。
「蓮如と頓入一夜泊まりの竈(かま)」と書かれた小屋があります。
比叡山の衆徒に追われていた蓮如上人(れんにょしょうにん)が、ここにあった炭焼窯で一夜を過ごしたと伝わる場所。
蓮如上人は、室町時代に浄土真宗を日本中に広めた人です。浄土真宗といえば親鸞が有名ですが、親鸞は開山した人で蓮如上人は布教活動を行った人。
中に入ると、休憩できるベンチと、蓮如上人が一夜を過ごしている様子が描かれた絵がありました。
紅葉シーズンということもあってか、登山道の雰囲気がとっても幻想的。
天然記念物に指定されている「大シデ」。高さが約20mもあって、カメラに収まりきらない迫力。
そしてこちらの赤い服のおじいちゃん、駐車場で出会ってなんとなく同じペース歩いてきましたが、年齢を聞いてびっくり!なんと77歳の大ベテラン。
この辺りの地理に詳しい方で、いろんな情報を教えていただきました。
絵画のような景色!
おじいちゃんとは行き先が違ったので、途中で別れて私たちはイブネを目指します。
ちょっとした難所。ロープを使って崖を慎重に降ります。
写真ではわかりづらいですが、左が急斜面になっているためロープが設置されています。
ここから急登を登ると、、、
スタートから約3時間、チェックポイントの杉峠に到着!シンボルツリーがお出迎え。
左へ行くとイブネ方面、右へ行くと雨乞岳、まっすぐ行くと三重県の朝明渓谷へと通じています。
杉峠から先は気持ちのいい稜線歩き。イブネが近づくにつれ苔ゾーンが現れ、それらしくなってきました。
イブネ直前には激しめの急登があります。テント泊装備の人は苦戦していました。
ついに、苔の楽園「イブネ」に到着!
見渡す限りの苔の大地が圧巻!
イブネは平らな台地状になっていて、山頂付近はとっても広大なんです。どこでも好きな場所でゴロゴロできちゃいますよ〜
苔の絨毯越しに、鎌ヶ岳、御在所岳が見えています。
鈴鹿10座のひとつイブネ、標高は1,160m。イブネは「伊船」と書き、船をひっくり返したような形をしていることから名付けられたそうです。
日本庭園を散策しているよう。苔の保護のためかロープが張られています。
細長いイブネの北端まで来たら、ここからクラシへ向かいます。クラシまでは10分ほど、雰囲気がとてもいいのでぜひ足を伸ばしてみてください。
イブネ北端から見たクラシへの稜線。
イブネからクラシへ!
モコモコした苔がびっしり。触るとすごい弾力でフワフワというよりモチモチって感じ。
バランスを崩してうっかり苔を踏んでしまったのですが、苔の上に乗ってる感じでほぼ沈みませんでした(笑)
なんにもない場所に苔だけがびっしり。独特の世界観を持つイブネ、気に入りました!
11月でもこんなに綺麗な苔が見られるんですね。
もはやアート!
そろそろクラシに着くはず。
「クラシどこ?ないねんけど?」
「あ、あった!看板ちっさ!」見つけるのに一苦労しました(笑)
クラシは眺望もなく地味なので、とりあえず証拠写真を押さえたら撤収。
※下山は来た道を戻るだけなので割愛させていただきます。
まとめ
幻想的な苔の楽園「イブネ・クラシ」をご紹介しました。甲津畑ルートなら歴史ある千種街道を歩くことができ、傾斜も緩やかなのでおすすめです。往復8時間のロングコースになりますが、頑張ってたどり着いた先には別世界のような景色が待っていますよ。
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