こんにちは、登山歴1年半のカエルハイカーです。
2021年2月中旬、雪が残る「御在所岳」で登山してきました。御在所岳は三重県と滋賀県の境に位置する標高1,212mの山で、鈴鹿山脈の主峰として知られています。
御在所岳といえば大迫力の「キレット」にスリリングな「鎖場」、おばれ岩や地蔵岩などの奇岩・巨岩など、アスレチック要素満載の「中登山道」が大人気なのですが、キレットや鎖場と聞くと初心者が行けるのか気になるところですよね?
そこで今回は、登山歴1年半の私が人気の定番ルート「中登山道→裏登山道」を実際に歩いて、その難易度を確かめてきました!
結論から言うと、何度か登山経験があり、ある程度の体力がある方なら初心者でも登れるルートだと思います。ただ、高度感のあるキレットや鎖場は高所恐怖症の方は怖いと感じるかもしれません。
※ここに記載の内容は2021年2月現在の情報です。
[御在所岳] 5つのおすすめポイント
- おばれ岩や地蔵岩などの奇岩・巨岩が楽しめる
- 大迫力のキレットや鎖場が体験できる
- 麓に温泉がある
- お天気が良ければ伊勢湾、琵琶湖、富士山まで見える
- 日本二百名山、関西百名山、鈴鹿セブンマウンテン
[御在所岳] アクセスと駐車場
アクセス
御在所岳登山の起点となる御在所ロープウェイ「湯の山温泉駅」までのアクセスをご紹介します。
<車>
新名神高速道路 菰野ICより約10分
(大阪方面より約90分、名古屋方面より約40分)
<公共交通機関>
[近鉄電車] 四日市駅→湯の山温泉駅(約30分)
[三重交通バス] 湯の山温泉→御在所ロープウェイ前(約10分)
(近鉄大阪難波より約160分、近鉄名古屋より約70分)
駐車場
中登山道から登る場合のおすすめ駐車場を2つご紹介します。
①割谷駐車場:中登山道口のすぐそば
②御在所ロープウェイ駐車場 :中登山道口まで徒歩約40分
今回私たちは②の御在所ロープウェイ駐車場を利用しました。それぞれのメリット・デメリット・基本情報は下記をご覧ください。
①割谷駐車場

国道477号(旧鈴鹿スカイライン)にある無料駐車場で、約70台停められます。中登山道口まで徒歩約1分の場所にあるので1番人気があり、登山シーズンになると早朝6時頃には満車になることも!
・中登山道口のすぐそばにある
・無料
・登山シーズンは早朝から満車の可能性大
時間をかけずサクッと登りたい方、お金をかけたくない方、早起きできる方におすすめの駐車場です。
料金:無料
駐車台数:約70台
トイレ:なし
②御在所ロープウェイ駐車場

御在所ロープウェイ乗り場に一番近い有料駐車場(1,000円/1回)です。約300台止められる大型駐車場ですが、ロープウェイが動いていない早朝の時間帯はガラガラ。
ここから中登山道口へは徒歩約40分、湯の山温泉街を抜け舗装された山道を歩いていきます。
・早朝は空いている
・ロープウェイで下山した時は駐車場が近い
・中登山道口まで徒歩約40分かかる
・料金が高い(1,000円)
湯の山温泉街を歩きたい方、下山はロープウェイを使う方、早起きする自信がない方におすすめです。
料金:1,000円(1回)
駐車台数:約300台
トイレ:あり
[御在所岳] 登山ルートと歩行時間
今回のルート
▼下記地図の赤太線ルート

御在所岳の登山道は全部で5つありますが、最も人気があるのは中登山道。おばれ岩や地蔵岩などの奇岩・巨岩、スリリングな鎖場やロープ、はしご、そして御在所の目玉となるキレットも中登山道にあります。
今回は中登山道で登り裏登山道で下りてくる人気の定番のルートを歩いてきました。
<中登山道>
一番人気のルート、見どころ満載、中級向け
<裏登山道>
一番距離が長いルート、ロッククライミングの藤内壁が見える、初級向け
車は山麓の御在所ロープウェイ駐車場に止め、中登山道口までは徒歩で向かいました。湯の山温泉街を通り抜け舗装された山道を歩いて約40分です。
歩行時間
総歩行時間:約6時間30分
山頂での休憩時間や途中の休憩も入れると、合計8時間ぐらいはみておいたほうがいいです。30代後半初心者の私たちで、スタートしてから下山するまで8時間半ほどかかりました。
万が一山頂到着の時間が遅くなってしまったら、下山はロープウェイで降りることもできるので安心です。
[御在所岳] 登山
御在所岳ロープウェイ駐車場〜登山口

御在所ロープウェイ駐車場から湯の山温泉街を歩いて中登山道口へ向かいます。

橋を渡って左へ進みます。

川に沿って道なりに歩いていけばいいので迷うこともありません。

中登山道の登り口に到着です。ガイドブックでは50分となっていましたが、普通に歩いて40分で着きました。
登山口〜山頂 (中登山道)

大きな看板が立っているので分かりやすいですね。ここから登っていきます。登山ポストがあるので登山届けも忘れずに!
左に橋がかかっていますが、そちらへ進むと別ルートなので右側へ進みます。

スタート直後はしばらく登りが続きます。

階段のようになっていて歩きやすいですが、急登なので早速息が上がってきました。

登山道の雰囲気が六甲山に似ているなと思ったら、御在所岳も六甲山も花崗岩でできた山なんですね。ザレた感じの岩が雨風によって浸食され、U字型に窪んでいるのが特徴。

3合目の看板がありました。裏登山道と中登山道の分岐点になるところです。「中道・御在所岳」方向へ進みます。
裏登山道で下山する場合、途中からショートカットてしてこの場所まで戻ってこられるようですが、ルートが分かりにくくアップダウンも激しいようなのでおすすめされていません。

御在所ロープウェイの下をくぐります。朝早いのでまだ動いていません。

序盤から鎖が現れました!ここは鎖がなくても登れそうな場所なので軽々クリア。この辺りからゴツゴツした岩が増えてきます。

4合目、最初の見どころ「おばれ岩」に到着!

見上げるほど大きな岩!大きすぎて写真に収まらないくらい。それにしてもなぜ倒れないのか本当に不思議ですよね。2枚の岩が負ぶさっているように見えることから「おばれ岩」という名前がついたそうです。
岩と岩の隙間を抜けて向こう側からも眺めてみてください。また違った見え方が楽しめますよ。

岩と岩の間をよじ登るような場所もあります。
手を使って岩場を登るようなところが多いので滑り止めのついた手袋があると便利です。

おばれ岩から約10分、5合目の展望所まで登ってきました。

目の前に鈴鹿のマッターホルンと言われる鎌ヶ岳、そして御在所ロープウェイもシンボルの白鉄塔もよく見えます。
この後少し行くと、御在所岳で最も有名な岩「地蔵岩」を見ることができるはずなのですが、なんと私たち見落としました!落ちそうで絶対に落ちない岩なのに・・・。次回必ずリベンジしてきます!

ザレた道の右側が崖になっているので要注意!

足を滑らせたら谷底へとサヨナラです。

ついにやってきました、御在所名物のキレットに!ドキドキするけどワクワクもします。

うわ、すごい傾斜!
キレットとは?
キレットは稜線の一部が途中で深いV字型に切れ落ちている場所のことを言います。一見外国語のようですが実は日本語で「切戸」と書きます。

ここをクリアしないと前には進めません。

1本の鎖を頼りに慎重にゆっくりと降りていきます。上から見下ろした時ほど怖くはなかったかな。幸いにも他の登山者がおらず、後ろを気にせず自分のペースで降りることができました。
春夏の登山シーズンになると渋滞ができることもありますが、後ろを待たせているからといって慌てると大事故につながる可能性があるので、マイペースで慎重に!

7合目、かもしか広場です。ここも展望ポイントになりますが立ち止まることなく先を急ぎます。

雪が増えてきて所々滑りますが、まだチェーンスパイク無しでもなんとかいけそう。

梯子を登る場所も!登り始めはグラグラして安定感がないのでちょっと登りにくいですが、梯子があるだけありがたいです。

ロープを使ってよじ登るところもありました。アスレチックみたいで楽しい!

このジャンプ台のようなスリリングな岩のところに来たら、いよいよ・・・

岩肌を横切るトラバースです。鎖を伝ってカニのように横ばいに下っていきます。高度感もあるし雪も残ってるしキレットよりこっちのほうが怖いかも!

上の鎖から下の鎖に移動する時、高さがあるので小柄な体型だと少し飛び降りる感じになってしまうのですが、下が雪でツルツルなのですごく怖かったです。鎖にぶらーんとぶら下がるような体勢になってしまいました(笑)

鎖場を超えてすぐ、ロープや鎖が設置されていない急登が出てきたので、これは絶対に滑ると思いようやくチェーンスパイク装着。
初めてチェーンスパイクを履きましたが、靴下を履くように靴にかぶせるだけなのですごく簡単。しっかりフィットして脱げるようなこともありませんでした。

雪の量が増えてきました。

ロープが設置された急な登りですが、チェーンスパイクを履いたおかげで滑りません。

雪がなければ何でもないような道も凍っていると慎重になります。

階段が見えた!ということは中登山道の終点です。まだ山頂ではありませんが、階段を上ったところには絶景ポイントの富士見岩があるのでぜひ立ち寄ってみてください。

お天気が良ければ富士山が見えますが、この日はあいにく霞んでいて視界が悪かったです。

富士見岩から大黒岩が綺麗に見えました。大黒岩へは一ノ谷ルートで行くことができます。あの岩の横に立ってその大きさを確かめてみたいものです。

富士見岩の前の分岐を御在所岳頂上のほうへ進みます。このあたりは遊歩道なので、雪のない日にはロープウェイで登ってきた観光客の方も散策することができます。

御在所岳の山頂付近はスキー場になっていて大賑い!上級者ゲレンデからそりゲレンデまでありました。楽しそうな光景を横目に頂上を目指します。
トイレはここにあります。山頂にはないので注意!

山頂手前で鬼のような階段がありますが、ここを登りきると・・・

1,212m御在所岳登頂!湯の山温泉をスタートしてから約4時間20分のコースタイムでした。

山頂にはベンチやテーブルもあるのでここでお昼ご飯にしました。見晴らしの良い場所ですよ。
山頂で力尽きた方は、ここからリフトに乗ってロープウェイの山上公園駅まで行き、そのままロープウェイで麓まで下山することもできます。

この先には展望スポットの望湖台があります。雪がなければ整備された道なので軽装で登れます。

岩がゴツゴツした迫力のある展望台です。望湖台というだけあって琵琶湖の絶景が楽しめるのですが、この日は霞んでいて見えず。雪化粧をした鈴鹿の山並がとても綺麗でした。
山頂〜登山口(裏登山道)

下山は初級向けの裏登山道で!傾斜が比較的緩やかなので初級向けですが、その分距離は一番長いルートになります。

雪解け水と一緒に沢に沿って下っていきます。雪化粧をした森がとても綺麗です。

国見峠まで来たら湯の山温泉方面に進みます。一瞬国見岳の方向へ行ってしまいそうになりますが、国見岳まで行ったらまたここまで戻ってこないといけないので注意です。

足跡がたくさん!雪がなかったらどんな感じの道なんだろうと想像しながら歩きました。

川に沿ってどんどん下ってていきます。右側にはロッククライミングで有名な藤内壁という岩壁があります。

裏登山道を使うとこの迫力ある藤内壁が見られるのもポイント。あんな崖をよじ登る人がいるなんてすごいですよね。

雪化粧をした登山道は美しすぎます。


初級向けの裏登山道にも鎖場が出現!でもここは中登山道の鎖場に比べたら全然です。見た目以上に簡単にクリアできました。

川を渡る渡渉箇所があります。水量がそこまで多くないので飛び石をバランス良く渡っていけば大丈夫!バランス感覚に自信のない方はドボンする可能性もあるのでご注意を。

川を渡ったらゴツゴツした石のガレ場を川沿いに歩いていきます。しばらく行くと赤い屋根の小屋が見えてきます。

藤内小屋に到着です。休憩はもちろん宿泊もできます。よく冷えた飲み物が売っていたのでアクエリアスを購入し、少し休憩させてもらいました。

藤内小屋は2008年の豪雨による土石流で大きな被害を受け壊滅的な状態となりましたが、その際にあのモンベルが寄贈したのがこちらのモンベルハウスだそうです。中は宿泊場所として利用されています。

藤内小屋から先も冒険心をくすぐるような橋が幾つかあり、最後まで飽きることのない裏登山道です。川の色を見ると秘境感が溢れていますね。

ここはちょっと怖かったです。激流の中に落っこちないように慎重に渡ります。渡りきった先は人ひとりギリギリ通れるスペース。岩壁に沿って歩いていきます。

振り返ると渡ってきた橋が見えます。本当に美しい景色ですね。

この砂防堤をくぐると裏登山道の終点です。お疲れさまでした!
立ち寄りスポット
温泉 (アクアイグニス)

下山後のお楽しみといえばやっぱり温泉!御在所岳の麓は温泉街になっているのでたくさんの温泉がありますが、御在所ロープウェイから車で約10分のところにある「片岡温泉 アクアイグニス」がおすすめです。
温泉らしくないおしゃれな建物の中には、温泉はもちろん辻口シェフを始めとする有名シェフが手がけるレストランやベーカリー、センスの良いお土産店などがあり、見ているだけでも楽しめます。

100%源泉掛け流しの温泉はヌメリのある泉質で、湯上がりのお肌を触るとすべすべになっていたのでびっくりしました!

登山の後にぜひ訪れてみてくださいね。
営業時間:06:00〜24:00
定休日:無休
入浴料:
【平日】大人(中学生以上)600円、子供(3歳〜小学生)300円
【土日祝】大人(中学生以上)800円、子供(3歳〜小学生)400円
※3歳未満は無料
※レンタルタオル100円、レンタルバスタオル200円
グルメ (名物トンテキ)

登山で消耗した体力回復にはお肉でしょ!ということで帰りに四日市名物のトンテキを食べることに。焼肉・トンテキをいただけるお店「ごっちゃんまんま」にお邪魔しました。
アクアイグニスの温泉から菰野インターに向かう途中でたまたま見つけたお店ですが、これが大当たり!
ニンニクがゴロゴロ乗った厚切りのお肉がドーン!見た目からしてスタミナつきそう。これで小サイズ(120g)ですが120gとは思えないボリュームです。
トンテキ定食
(大)200g 1,500円 (小)120g 1,200円
出てきた時は食べきれるか心配でしたが、想像以上の美味しさにあっという間に完食!一緒についてきたもやし入りの豚汁も疲れた体に染み渡る美味しさでした。ごちそうさまでした。
営業時間
平日:17:00〜21:30(L.O.21:00)
土日祝:11:00〜14:00(L.O.13:30)、17:00〜21:30(L.O.21:00)
定休日:火・水曜
TEL:059-392-2334
※駐車場あり
まとめ
鈴鹿の山は面白い!という噂をよく耳にしますが今回登ってみて納得です。奇岩巨岩に鎖場・キレットととにかく登山の魅力がぎゅっと詰まっていて、わずか1,200mほどの山でこの迫力が体験できるのは贅沢だなと思いました。中登山道で登り、裏登山道で下山するルートは御在所岳の魅力を最大限に楽しめるルートになっていますので、ぜひ挑戦してみてください。