こんにちは、登山歴2年半のカエルハイカーです。夫婦で登山やキャンプを楽しんでいます。
2022年8月のお盆休み、憧れだった涸沢カール(標高2,300m)へテント泊登山に行ってきました。上高地から片道7時間、11kgの荷物を背負って歩いた1泊2日の山旅。
今回は、登山ルートやテント場の様子なども含め、涸沢カール登山に必要な情報を分かりやすくご紹介しますね。これから涸沢カールにチャレンジする方の参考になれば嬉しいです。
難易度としては、大きな危険箇所はないので、重たい荷物で長時間歩く体力さえあればアルプス初心者でも行けると思います。涸沢カールから先は奥穂高岳や北穂高岳など上級者向けの山ばかりなので、それなりの技術が必要となります。
涸沢のテント場は予約がいりません。先着順に良い場所が埋まっていくので、紅葉シーズンなど混雑時期は早めに到着するのがおすすめです!
※ここに記載の内容は2022年8月現在のものです。
[涸沢カール] 5つのおすすめポイント
- 日本一の紅葉が楽しめる(9月中旬〜10月上旬)
- 涸沢名物、テント場の夜景が絶景
- 穂高連邦を真っ赤に染める朝焼けモルゲンロートが見られる(天候次第)
- 涸沢ヒュッテで飲み水が汲める(テント泊、小屋泊の方は無料)
- 涸沢ヒュッテの売店で食事ができる
氷河の侵食でできたお椀型の地形のことを「カール」と呼びますが、日本最大のカールが「涸沢カール」です。北アルプス穂高連邦の直下に広がり、奥穂高岳や北穂高岳へのベースキャンプとして多くの登山者が集まる聖地のような場所。日本一の紅葉スポットとしても有名で、9月下旬〜10月上旬には数百〜1,000張り近くのテントで埋め尽くされ、テント場の夜景も涸沢名物の一つ。
[涸沢カール] アクセス・駐車場
涸沢カール登山のスタート地点は、標高1500mの「上高地(かみこうち)」。というわけで、まずは上高地を目指しましょう!
マイカーで行く場合
上高地は通年マイカー規制があります。車で行けるのは麓の駐車場まで。そこから先はシャトルバスで上高地へアクセスします。関西方面から行く場合は「平湯あかんだな駐車場」、関東方面から行く場合は「沢渡(さわんど)駐車場」を利用しましょう。
■平湯あかんだな駐車場
料金:600円(1日)
収容台数:約850台
営業期間:4/17〜11/15(冬季は閉鎖)
営業時間:早朝3:30〜19:00
※シャトルバスの運行時間にあわせて変動
※出庫は24時間可能
■駐車場〜上高地のシャトルバス
料金(往復):2,090円(大人)、1,050円(小学生)
乗車時間:約30分
※バスの時刻表はこちら
■沢渡(さわんど)駐車場
料金:700円(1日)
収容台数:約2,000台
営業期間:4/17〜11/15(冬季は閉鎖)
営業時間:市営は24時間(自動ゲート)、民間は5:00頃~
※シャトルバスの運行時間にあわせて変動
■駐車場〜上高地のシャトルバス
料金(往復):2,400円(大人)、1,200円(小人)
乗車時間:約30分
※バスの時刻表はこちら
公共交通機関で行く場合
公共交通機関を利用する場合は、関西方面の方は岐阜県の「高山駅」、関東方面の方は長野県の「松本駅」まで特急列車や高速バスなどで行き、そこからバスや電車を利用して上高地へアクセスするのが一般的です。
※公共交通機関でのアクセスについて、詳しくはこちら
[涸沢カール] 登山ルートと所要時間
上高地からの登山ルート
上高地から横尾を経由して涸沢カールを目指します。これが最も一般的で安全なルートです。というか、これ以外に安全にたどり着けるルートは私の知る限りありません。
1日目:上高地 ➡︎ 明神 ➡︎ 徳沢 ➡︎ 横尾 ➡︎ 本谷橋 ➡︎ 涸沢カール (テント泊)
2日目:涸沢カール ➡︎ 本谷橋 ➡︎ 横尾 ➡︎ 徳沢 ➡︎ 明神 ➡︎ 上高地
前半の上高地から横尾までは、おおよそ3時間ぐらい。アップダウンの少ないハイキングコースで、道もよく整備されていて快適に歩けます(荷物が重たいことを除けば…。)
明神、徳沢、横尾と1時間ごとに休憩ポイントがあって、トイレもあるので安心。
後半の横尾から涸沢カールまでは本格的な登山道となります。本谷橋から先はさらに登りがきつくなり、ラスト1時間が正念場!体力の限界を迎える頃に穂高連邦が目の前に現れ、パワーをもらえました。涸沢ヒュッテの鯉のぼりが見えたらゴールはもうすぐ!
一部落石多発エリア(青ガレ)がありますが、怖いと思うような滑落危険箇所などはありませんでした。ガレ場が多いので捻挫に気をつけてください。あとは体力勝負ってところです。
所要時間
1日目(登り):約7時間30分(休憩約1時間を含む)
2日目(下り):約6時間30分(休憩約1時間を含む)
横尾から先は14時以降入山禁止なので、上高地を朝早めに出発するのがおすすめ。明るいうちに涸沢カールにたどり着けないと危険なので…。私たちは朝7時30分に上高地を出発して15時頃に涸沢カールに到着しました。
[涸沢カール] 登山
上高地~横尾
朝7時半頃、上高地バスターミナル出発!
登山届けは左手の建物の前(上高地登山相談所)で提出できます。
朝ごはんがまだの方は、バスターミナルにある上高地食堂がおすすめ!7:00から開いています。
上高地名物、河童橋と穂高連邦の景色。お天気が良いので、西穂も奥穂も前穂も綺麗に見えています。どれがどの山か分からない…という方は、下記の写真で解決!
見比べてみると一目瞭然ですね!上高地バスターミナルのインフォメーションセンター内に展示されているので、気になる方は覗いてみてください。
河童橋から少し進むと、小梨平(こなしだいら)キャンプ場があります。数年前に熊が出てニュースになった場所です。キャンプ場内を抜けて、まずは一つ目のチェックポイント「明神(みょうじん)」を目指します。
明神までの道はとても歩きやすいハイキングコースで、観光客の方もたくさん見かけます。
上高地から約50分で明神に到着!明神館には外来食堂があり、朝7:00から食事ができます。もちろんトイレもありますよ。
明神から次の目的地「徳沢」へ向かいます。足場の悪い場所もありますが、歩きやすいように整備してくれていて助かります。
上高地一帯はクマの生息エリアで、特にこの辺りはよく熊が出るみたいです。クマよけの鐘を鳴らして、さらに持ってきていた熊鈴もザックに取り付けて熊対策を強化!去年もここを通ったときヒヤヒヤしたな〜。幸いまだクマと遭遇したことはありませんが…。
明神から1時間もかからずに徳沢に到着!トイレは写真より少し手前に無料の公衆トイレがあります。
昨年のお盆に蝶ヶ岳に登った時、ここ「徳沢キャンプ場」でテント泊デビューしました。徳沢の楽園的な雰囲気がすごく好きです♪綺麗なグリーンの天然芝の上にテントを張ってのんび〜り過ごすのが最高です!
徳沢テント泊の様子はこちらの記事でご紹介しています↓
レトロでおしゃれな「みちくさ食堂」もお気に入り。食事はもちろん、売店もあって去年ここで徳澤園オリジナルの熊鈴を買いました。
食事は7:30〜14:00(LO)、カフェは7:00〜19:30まで営業しています。
涸沢からの帰りにみちくさ食堂でカレーをいただきました。去年、蝶ヶ岳から下山してきてヘロヘロの体で食べた徳澤園のカレーが忘れられなくて…。前とちょっと味が違う気がするのは気のせい?美味しいことに変わりはありませんが^^
山小屋のカレーって最高ですよね!ちなみに涸沢ヒュッテでもカレー食べました。
雰囲気が良くてとても綺麗な山小屋「徳澤園」。玄関に近づくとお香のいい香りが立ち込めていて幸せな気分になります。山小屋?というか山荘?というか、、もはやホテル!いつか泊まってみたいな〜
大好きな徳沢でゆっくりしたいところですが、今回の目的地は涸沢。まだまだ先は長いので、次のチェックポイント「横尾」を目指します。
徳沢から横尾に向かう途中、前穂高岳が見えました。去年通ったときは何の山かも分からなかったけど、少しずつ山の名前が分かるようになってきました。
徳沢から約1時間、横尾に到着です。上高地からは約3時間の所要時間でした。ここまでは軽装でも来られる場所、ここから先は登山エリアとなります。まっすぐ進むと槍ヶ岳、右方向は去年登った蝶ヶ岳、左方向が涸沢と、それぞれ道が分かれていて、北アルプスの十字路のような場所。
横尾には横尾山荘があり、山荘での宿泊はもちろんテント場もあります。日帰りで利用できる食堂や売店があることは後から知りました。
横尾が最後のトイレポイントとなります。これ以降、涸沢までトイレがないのでご注意ください!
横尾〜涸沢カール
さあ、いよいよここから未知の世界へ突入!いつか渡りたいと思っていた横尾大橋。ついにその時がやってきました。
安全面から午後2時以降の入山は控えるよう注意書きがありました。
この橋の両サイドがテント場になっています。横尾でテント泊して、日帰りで涸沢を往復するという方もいるみたいですね。重たい荷物を横尾に置いて身軽で行けるので、涸沢で泊まることにこだわらなければ全然アリかも。
横尾から先は本格的な登山道と聞いていたけど、、、しばらくは歩きやすい道が続きます。
左手に見えている絶壁のような岩が、クライミングのメッカと言われる「屏風岩」です。あんなところをよじ登る人がいるなんてすごい!
登山道らしくなってきました。階段状に整備されているところもあって登りやすいです。
足元はこんな感じでゴツゴツ。足場を選んで歩かないと疲れるし、油断したら捻挫の危険性もある。とはいえ急登はなく、なだらかに登っていくので荷物の重さで肩が痛いことを除けば体力的には全然楽でした。(この時はまだ…)
横尾から1時間半ほど歩くと、チェックポイントの「本谷橋」に到着!横尾と涸沢の中間あたりですね。
YouTubeで何度も見たこの橋。ついに渡ります!
けっこう揺れる…というか跳ねる!
橋を渡って右手の河原が休憩ポイント。登山者のオアシスです。
水が氷のように冷たくて気持ちいい〜!タオルを濡らしたり、裸足になって足をつけたり、顔を洗ったり…生き返ります。
本谷橋から先はけっこう辛い登りになるので、ここでしっかり目に休憩しておくのがおすすめ!
たっぷり休憩したら気合を入れ直して本谷橋を出発!さっきまでと違い岩のゴツゴツ感がパワーアップ(汗)。傾斜も急に…。
体力の消耗を極力減らすため、できるだけ段差が少ない場所を選んで歩きます。
お花を楽しむ余裕もなく黙々とひたすら涸沢を目指す。
急に景色が開けたので一休みしようと思ったら、落石多発箇所なので立ち止まらずに通過するよう注意書きがありました。
休憩ポイント「Sガレ」。ここから先、クラクラするような登りが続きます。登っても登っても涸沢は見えず、とにかくキツい。一番の頑張りどころです!
体力の限界を感じ始めた頃、穂高連邦が目の前に!ということは…涸沢までもう少し!
この分岐標識まで来たら涸沢まであと5分〜10分ほどです。右へ行くと涸沢小屋、まっすぐ行くと涸沢ヒュッテ。涸沢ヒュッテ方向へ進みます。
ついに!念願の!
標高2,300m、涸沢カールに到着!上高地から約7時間半のコースタイムでした。
さ、早くテント張ってゆっくりするぞー!やっと荷物が下ろせる…。しんどいより何よりも肩が限界。
涸沢ヒュッテで小屋泊の方は右手にある建物が受付ですが、テント泊の方はテント場の真ん中あたりにある建物で受付します。
[涸沢カール] 滞在
テント場
涸沢ヒュッテのテラスから見たテント場。この日は200張りほどでお盆にしては少なめな印象。紅葉シーズンは1,000張り近くになることもあるそうです。
奥に見える建物が涸沢小屋で、涸沢ヒュッテと涸沢小屋の間がテント場になっています。
テント場の真ん中あたりにある建物で受付します。予約は不要で先着順となります。
受付時間:14:00〜17:00
幕営代:大人 2,000円(1泊/1名)、子供 1,000円(1泊/1名)
※キャッシュレス不可、現金のみ
コンパネ諦めてましたが、まだまだ残ってました!涸沢のテント場は地面がガタガタなので、フラットにするための板=コンパネがレンタルできます(500円)。先着順なので到着時間が遅いとゲットできない可能性も…。
テント場の真ん中が通路になっていますが、夜はどこが通路か分かり辛いです…。霧が濃かったせいもあり、涸沢ヒュッテのトイレからテントに戻るときに通路を外れてしまい、まさかのテント場で遭難(笑)
自分のテントの周りがどんな景色か、昼間の間に確認しておくことをおすすめします!
15時過ぎに到着して、フラットな場所がけっこう残っているなんてラッキー。紅葉シーズンはきっと無理だろうな…。
写真のように整地されている場所をゲットできるといいです。通路に近い場所、トイレに近い場所から順に埋まって行きます。
通路やトイレからは少し離れていますが、その分静かで快眠できそうなこちらの場所に決定!
ところどころ石が出っ張ってるところがあるので、一応コンパネを借りました。この上にグランドシートを敷いて、テントを張ります。テントのロープはペグではなく、その辺に転がっている石に巻きつけて固定します。
テント張ったらこんな感じ。穂高連邦をバックに最高の景色!
お気に入りのテント、MSRのハバハバNX。といってもまだ使うの2回目なんです…。2人用のテントにしては空間が広く感じたのでこれにしました。左右両側に出入り口と前室があるのがすごく便利です。私たちはグレーを使っていますが、ダークグリーン(カーキっぽいアースカラー)もおしゃれ!
反対側の景色も壮大です。これ、夕焼けっぽいですが朝焼けです。朝5時頃に撮影しました。爆睡していた夫は、後日この写真に「綺麗な夕日」とコメントしてYAMAPにアップしてました(笑)
テント設営許可証をもらえるので、テントの外側に取り付けておきます。
涸沢ヒュッテの売店・食事
涸沢ヒュッテの「パノラマ売店」。テラスがとっても広くて開放的です。目の前に見えているのが北穂高岳。
売店にはカレー、おでん、ラーメン、牛丼、カップ麺、お菓子類などフードメニューがたくさん!もちろん生ビールやその他ドリンクもたくさんありますよ〜♪手ぬぐいやTシャツ、バッジなども売っていました。
営業時間:6:00〜17:00 ※時期により変動あり
《メニュー(一例)》
・生ビール 1,000円
・カレーライス 1,000円
・ラーメン 1,000円
・牛丼 1,000円
・おでん盛り合わせ 700円
・ライス 300円
・カップ麺 400円
・パン 300円
・涸沢コーヒー 400円
※2022年8月現在の情報になります。
山で食べるカレーは最高!
牛丼も優しいお味でホッとする〜。ランチのつもりでしたが、食べた時間が16時だったので夜兼用になりました…。この後テントで爆睡し、結果、持ってきた食料を食べずに朝を迎えるという…^^;
テーブル席のほか、奥にはお座敷スタイルのテラスもあります。とにかく広いパノラマテラス!
水場・トイレ
パノラマ売店の隣に水場があり、飲用水を汲むことができます。テント泊、小屋泊の方は無料です。
水場の横の階段を降りたところに、トイレ、喫煙所、自販機があります。
山のトイレとは思えないほど綺麗で感激!bottonですが、トイレットペーパーもあります。日帰りの方のみチップ制で、テント泊、小屋泊の方は無料です。ブースも多くて写真の反対側にも5ブースほどありました。
混雑シーズン(特に紅葉シーズン)の朝は1時間待ちの行列ができるとの噂です。その時期に行かれる方は、念のため携帯トイレを持参した方が良さそうですね。
景色
涸沢ヒュッテ前から見た景色。左側が「奥穂高岳」で、真ん中より少し右の凹んだ部分に「穂高岳山荘」があります。その右側が「涸沢岳」、一番右の尖った山が「涸沢槍」です。さらに右へ行くと見えていませんが「北穂高岳」へと続いています。
左方向へ目を向けると、真正面に「吊り尾根」、向かって右側が「奥穂高岳」、左側が「前穂高岳」になります。
すぐそばに詳しい地図がありました。ここ涸沢カールを拠点にして、北穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳などへアタックすることができます。上級者向けの難易度の高い山ばかりですが…。いつの日か!
初めて見るモルゲンロート!昨晩の雨から一転、早起きしたら最高のご褒美が待っていました!
穂高の山々を真っ赤に染める朝焼け。まるで早送りのように影が動いて刻一刻と景色が変化していく、ほんの数分間でしたが鳥肌が立つほどの絶景でした!爆睡してた夫を慌てて起こし、2人で見れてよかったー^^
まとめ
日本一と言われる美しい紅葉や、名物テント場の夜景、モルゲンロートなど数々の絶景に出会える涸沢カール。テント泊はもちろん、小屋泊もできるのでぜひチャレンジしてみてくださいね。