こんにちは、登山歴4年のカエルハイカーです。夫婦で登山を楽しんでいます。
2024年2月上旬の3連休、長野県にある八ヶ岳連峰の天狗岳(標高2,646m)に登りました。北八ヶ岳の中でも、雪山入門と言われる北横岳や蓼科山はすでに登頂済みなので、今回は雪山初心者からのステップアップを図るべく、厳冬期の天狗岳へチャレンジ!
天狗岳は雪山初級〜中級向けと言われています。お天気によって難易度が大きく変わり、天候が荒れると遭難のリスクもあるので、しっかりとした事前準備が必要です。
天狗岳の雪山ルートは、「渋の湯」または「涸沢鉱泉」から登るのが一般的。今回は、渋の湯登山口の駐車場から往復する、人気のルートで登ってきました。
涸沢鉱泉までの道が悪路でスタックしやすいと噂なので、安全な渋の湯登山口を選びました。
ピッケル、アイゼンなど気になる装備についても前半で紹介していますので参考になれば嬉しいです。
森林限界を越えてから山頂まで1時間ほど、遮るものがなく吹きさらしです。この日は幸い風が弱く穏やかでしたが、天候が荒れると爆風で前に進むのも至難の業。私たちが登る前日は天候が急変して、別ルートですが3名遭難者が出て1名亡くなられたそうです。しっかりした装備で挑むことはもちろん、お天気が良い日を選ぶこと、不安を感じたら撤退する勇気を持つことが大切だと感じました。
※ここに記載の内容は2024年2月現在の情報です。
[天狗岳] 5つのおすすめポイント
- 冬も登山者が多い山で、山小屋「黒百合ヒュッテ」があるので安心
- 往復7〜8時間程度(休憩込み)で日帰り登山が可能
- 東天狗岳から西天狗岳への稜線歩きが絶景
- 山頂から八ヶ岳、南アルプス、北アルプスを望む大展望
- 黒百合ヒュッテで小屋泊、テント泊もできる。名物ビーフシチューもおすすめ!
[天狗岳] 今回の雪山装備
12本爪アイゼン
12本爪(10本爪)アイゼンが必要です。私は足が小さいので10本爪(足が小さければ爪と爪の間隔が狭くなるので12本爪と同じ役割を果たします)、旦那さんは12本爪アイゼンを着用して登りました。
東野登山隊で天狗岳に登られていたとき、庄司さんが10本爪だったのですが、急登で滑って前に進めず途中リタイアされていました。
ピッケルは必要か?
天狗岳はピッケル推奨とされている山です。ストックでも登れないことはないかもしれませんが、写真のように急斜面があるのでピッケルがあった方がいいです!ほとんどの方がピッケルを携帯されていました。ピッケルは強風時に体を支えたり、滑落防止の役割もあるので安全面からも持っておくと安心です。
渋の湯から黒百合ヒュッテまでの樹林帯歩きはピッケルだと歩きづらいので、ストックも持っていきました。
ピッケルはグリベルのG1を今回用に購入しました。天狗岳なら、柄の部分がまっすぐなストレートシャフトが使いやすくておすすめです。(好日山荘の店員さんに教えていただきました)
私が買ったものはリーシュ(ピッケルと体をつなぐコード)付きでしたが、旦那さんのは付いていなかったので、別売りのリーシュを購入しました。
シャフトの長さが選べるのですが、参考までに、身長157cmの私は60cm、身長175cmの旦那さんは70cmを使っています。
登山靴は冬用?
冬用の断熱材が入った登山靴を持っていないので、残雪期や低山雪山で使っている3シーズン用の靴で登りました。(靴用カイロ入れてます…笑)3シーズン用ですが、靴底が硬く、かかと部分にアイゼンを固定するコバが付いており、雪山での使用も想定して作られている登山靴です。
厳冬期なので凍傷のリスクなど万が一を考えると、断熱材が入った冬用登山靴が安心だと思います。今回はお天気が良い日を選び、もし稜線に出て風が強かったら撤退も覚悟で挑みました。気温はマイナス15℃でした。
マムートの Kento Guide High GTXを使っています。現在は「Kento Advanced High GTX」という名前に変わっています。メンズとレディースがあるので下記参考にしてみてください。
服装は冬用シェルとダウンは必須
厳冬期の雪山なので、防寒対策はしっかりしていきました。行動中は暑くても、山頂での停滞時はとても寒いので、冬用シェルやダウンがないと辛いです。
参考までに、私が今回着用したウェアです↓
(上)
■冬用シェル:ミレー ティフォン50,000ウォーム
■化繊ダウン:アークテリクス アトムAR フーディー
■フリース:モンベル シャミースジャケット
■ベースレイヤー:モンベル スーパーメリノウール 中厚手
(下)
■パンツ:ノースフェイス アルパインライトパンツ
■ミッドレイヤー:ミレー スーパーパワーパンツ(←寒がりなので着用)
■ベースレイヤー:モンベル スーパーメリノウール タイツ 中厚手
(小物)
■ニット帽
■ネックウォーマー
■手袋3つ(濡れた時の予備込み)
■サングラス
[天狗岳] アクセス・駐車場・トイレ
アクセス
登山口がある「渋の湯」までのアクセスをご紹介します。
<車>
中央自動車道 「諏訪IC」から約40分、湯みち街道(国道191)を登っていきます。
道路はガリガリでしたが、除雪されていたので四駆のスタッドレスで問題なく行けました。涸沢鉱泉のルートだと、かなり悪路でチェーンもあったほうが良いそうです。
<公共交通機関>
茅野駅から渋の湯行きのバスがありますが、本数が少なく帰りの最終便の時間も早いので、よほど足が早くなければ日帰りは厳しいかもしれません。一応バスの時刻表は下記より確認できます。
※バスの時刻表はこちら
駐車場
「渋の湯(渋御殿湯)」の駐車場を利用します。料金は1,100円。駐車場の利用ルールが厳しいと噂に聞いていたので、ヒヤヒヤしました。
先に渋御殿湯で受付してから、駐車場に案内してもらう仕組みになっています。間違っても先に停めてはいけません。今回は3連休で混雑していたのので、案内のお兄さんがスムーズにさばいてくれていて、指示に従えば大丈夫でした。
受付で車のナンバーを聞かれるのですんなり言えるように準備しておいたほうがいいです。スマホにメモしていったのに、スマホのロック解除にもたついてしまい女将さんに怒られました(笑)
駐車台数が約40台と少ないので、週末や連休は早朝から満車の可能性大!私たちは朝7時頃に到着しなんとか停められましたが、後続車が続々と続いていてカオス状態でした…。(3連休の真ん中の日です)
トイレ
登山口の渋の湯駐車場にトイレがあります。チップは100円です。
登山道の途中(登山口から約2時間半)に黒百合ヒュッテのトイレがあります。チップは200円です。
黒百合ヒュッテから山頂まではトイレがありません。
[天狗岳] 登山ルートと歩行時間
今回のルート
渋の湯登山口から往復する人気のルートです。途中に山小屋(黒百合ヒュッテ)があり、トイレ休憩はもちろん、食事をとることもできます。
★渋の湯登山口→★黒百合ヒュッテ→★中山峠→★東天狗岳→★西天狗岳
渋の湯登山口から黒百合ヒュッテまでは、約2時間半の樹林帯歩き。美しい樹氷の森を楽しみながら、緩やかに登っていきます。黒百合ヒュッテから先は樹林帯を抜けると山頂まで遮るものがなく、強風時は注意が必要。特に東天狗岳までの岩場は雪と岩のミックスゾーンで歩きづらいので、滑落しないように気をつけてください。
歩行時間
山行時間:約8時間15分 (休憩含む)
1時間半ぐらいは休憩時間だったと思います。
[天狗岳] 登山
朝7時半、登山スタート!渋御殿湯さんに向かって右方向へ進み、登山口へ向かいます。
1〜2分で登山口に到着します。この橋を渡るとすぐに登山道になるので、ここでアイゼンを装着しました。登山届も小屋の前の黄色いポストへ提出しました。
さあ、橋を渡って八ヶ岳の美しい森へ!
まずは、中間地点の山小屋「黒百合ヒュッテ」を目指します。
黒百合ヒュッテまでは約2時間半の樹林帯歩き。急登もほとんどなく、緩やかに登っていきます。トレースがしっかりついていて、安心して歩くことができました。
気温マイナス15℃、ペットボトルのお水も髪の毛も凍っていました。
唐沢鉱泉から登る場合は、ここに出てくるんですかね。
冬の八ヶ岳の醍醐味といえば、美しい樹氷と八ヶ岳ブルー!上を見上げてはパシャリ、の繰り返しでなかなか前に進めません。
華やかな景色とは反対に、しんと静まりかえった八ヶ岳の森。冬は動物の鳴き声も川の音もしないから、不思議なくらい無音。時折、上からドサっと落ちてくる雪の音が聞こえるぐらいです。研ぎ澄まされたようなこの静けさが好きです。
賑やかな声が聞こえてきたと思えば、黒百合ヒュッテに到着しました!テント場も賑わっていますね。雪山登山で小屋に着いたときの安心感、ホッとします。
黒百合ヒュッテでトイレ休憩しました。ランチ・喫茶が14時までなので、それまでに降りてきて名物のビーフシチューをいただく予定。
それにしても最高すぎるお天気!キラキラ光る雪面や樹氷の森はまるで芸術作品のようで、このまま絵にして飾っておきたいぐらい素敵な景色でした。
さあ、ビーフシチューの時間もあるので、先を急ぎましょう!このあと急登や岩場が出てくるので、ストックからピッケルに持ち替えました。
初めてのピッケルにそわそわ、ワクワクしながら、樹氷のトンネルを抜けて山頂を目指します。
黒百合ヒュッテから10分ほどで中山峠に着きました。このあと樹林帯を抜けて稜線歩きとなります。
うわー!ついに2つのピークが目の前に!切り立った岩の東天狗岳と丸みを帯びた西天狗岳。天狗岳は2つの対照的な山頂を持つ双耳峰なんです。
なんて美しい絵画のような世界…。普通に生活していたら絶対に見ることのない景色。こんな場所に自分が立っていることが奇跡のようにも思えます。そんな景色がこれから山頂へ向かうにつれ、次々と更新されていきます。
この日は幸い風も弱く、それほど寒さも感じず気持ちよく歩けました。
前を行くパーティーが等間隔に列を組んでいて、とてもかっこいいと思った1枚。
雪の花が満開でした!
急登ではピッケルが大活躍。
なかなかの傾斜で雪も深く、かなりキツかった場所です。ピッケルなかったら辛かった。
少し平になった場所で小休憩。この辺りから雪と岩のミックスで歩きづらくなります。
道が狭く急な岩場もあるので、滑落に気をつけて慎重に譲り合って登りました。
東天狗から西天狗への稜線!ついにここまできたかー!
東天狗岳への最後の登り!山頂標識も見えました。
標高2,640m、東天狗岳いただきマウンテン!(←東野登山隊ファンです笑)
絶景!!!
天候や体調次第では、東天狗岳で引き返すことも考えていましたが、どちらもコンディションは問題なし!そしてこの稜線を目の前にして、引き返す選択肢はないですね。考える前に歩き出していました!
振り返って東天狗岳。西天狗に比べると山頂が岩でゴツゴツしていて険しいです。
左に目を向けると、赤岳や阿弥陀岳、硫黄岳など八ヶ岳の名峰がずらり。こんなに間近に見るのは初めてなのでテンション上がります!
サイコー!
西天狗岳への最後の急登、ピッケルフル活用でガシガシ登りますよ!
標高2,646m、西天狗岳いただきマウンテン!(←東野登山隊ファンです笑)
東天狗岳より6mだけ標高が高いんですね。初ピッケルでの登山は、お天気に恵まれて心に残る山行になりました。
振り返ると、蓼科山や北横岳など北八ヶ岳の山々が一望できます。雲がなければ北アルプスや南アルプスも見えますよ。
さあさあ、しつこいようですがビーフシチューが待っているので、猛ダッシュで下山します!グルメも山の楽しみの1つなんで….。下山は来た道を戻るだけなので割愛します。
ちなみに、下山は東天狗岳山頂を通らずに、手前に左に逸れる巻道があるので、そちらでショートカットして戻りました。
黒百合ヒュッテ
黒百合ヒュッテ名物のビーフシチュー♪14時のラストオーダーにギリギリ間に合いました。ライスは完売していたので、パンがついてきました。ヒュッテ外の雪景色を見ながら暖かい室内で美味しくいただきました。
他にもカレーやおでんや定食、麺類のほか、ケーキセットもありましたよ〜
Cafe Chocolate Lilyという可愛い名前のカフェ。店内は狭いですが、てぬぐいやTシャツなどグッズも売っていて、記念に黒百合ヒュッテオリジナルの手拭いと、集めている登山バッジを買いました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?体力によって個人差はありますが、ゆったりペースの私たちでも休憩も入れて往復8時間ほど、日帰りで雪山登山が楽しめる天狗岳。途中に山小屋「黒百合ヒュッテ」があるのでトイレや食事の心配もありません。お天気が良ければ、八ヶ岳ブルーに映える美しい樹氷と山頂からのダイナミックな360度ビューが楽しめますよ!